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【東方SS】でれでれメリーと鈍感蓮子

どうもあけましておめでとうございました。サークル代表のうこんです。

東方SSを書くサークルでありながら今までひとつも載せていないことに気づいたので、3000文字程度のSSを載っけておきます。
内容はタイトルで想像したものそのままです。

これはうちのサークルではマトモなほうですね。

私以外にサークルメンバーは三人いるのですが、うん、まあ、ろくなの書きません。
前回の本を読んでくれた方はわかると思いますが、みんな紳士ですからね!w
たぶんそのうちなにかしら載せてくれるでしょう。

SSは以下になりますので、読まれる方は開いてください。
ではでは、うこんでした。


■でれでれメリーと鈍感蓮子


 大学全体の様子がなんだかおかしかった。みんなそわそわとするような、甘い空気に満ちている。
 そして、カフェテラスのテーブルに座っているメリーもまた同じだった。
 なんだかそわそわとして落ち着きがない。
 私が遅刻しても怒ることなく、「べ、べつにあたしも今来たばかりだから」とか言ってるし、あちこちに視線をさまよわせて私のほうを見ようとしないし、かと思えば「あー」とか「うー」とか意味のない言葉をつぶやきながらちらりと私のほうに意味ありげな視線を向けてきたりする。なのに目が合うとすぐにそらしてしまうのだ。
 やっぱり、メリーの様子はいつになくおかしい。
 けどそれもしかたないのだろう。
 今日は一年に一度の女の子のお祭り。バレンタインデーなのだから。
 きっとメリーにも好きな人ができたのだ。それを私に報告したいのだけど、たぶん恥ずかしくて言えないのだろう。
 メリーはちょっと口が悪くて怒りっぽいところがあるけど、がさつな私なんかよりも十分に女の子なのだから。
 そわそわしているメリーをながめているのも楽しかったけど、だんだん「なんで気がついてくれないのよ!」と怒り出しそうな勢いでにらみつけてきたので、しかたなく話を振ることにした。
「メリーが好きな人って誰なんだ?」
「ふえっ!? い、いきなりなによそんな……っ!」
 慌てる様子がおかしくて、つい苦笑をもらしてしまった。
「バレンタインにそんなそわそわされたら、理由なんてひとつしか思いつかないじゃないか」
「う……」
 メリーが赤くなった顔で黙り込んだ。テーブルの下でもじもじと手を動かしている。
 私はすぐにピンときて、イジワルな笑みを向けた。
「テーブルの下に隠してるのを見せてくれないか」
 メリーの細い肩がビクリと動いた。赤い顔をますます赤くして、両手をテーブルの上に置いた。
 メリーが持っていたのは、予想通りチョコだった。黒い包装紙と赤いリボンで包んだ、ちょっとシックな包みだ。
 義理、なんかではないだろう。
 メリーは本気なのだ。
 ほんの少しだけ、寂しいと思う感情が心に浮かんだ。
 私はそれをすぐに振り払う。
 ふたりだけのオカルトサークルをはじめてけっこう経つ。いつまでも続けられるものではないとわかっていたが、それでももう少し、もう少しだけと、私が勝手に思い込んでいただけなのだ。メリーはちゃんと前に進んでいた。
 祝福しよう。
 祝福して、私も前に進むのだ。
 小さな感傷を押し隠して、メリーへと笑顔を向けた。
「それで、メリーが好きな人ってのを教えてくれないか」
「え、ええっ!?」
 大声を上げるメリー。
「い、い、言わないといけないの……?」
「言わなきゃわからないだろう」
「う……」
 メリーが顔を赤くして口を開くが、すぐにうつむいてしまった。自分のひざに向けてなにやらごにょごにょ言っているが聞き取れない。
 どうやら恥ずかしくて言えないらしい。私はしかたなく自分の推理を披露した。
「今日はその好きな人にチョコレートを渡しに来たんだよな」
 メリーは答えなかった。赤い顔をうつむかせたまま聞いている。
「そして、その好きな人は今もメリーのそばにいる。そうだろ?」
 細い肩がビクリと震えた。熱のためかうるんだ瞳を私に向け、口を開こうとするが、結局声にはならなかった。下を向いてかすかな声を響かせる
「………………はい、そうです……」
 やっぱりそうか。
 心の中でつぶやいた。
「まったく、メリーったらしかたないな。好きな人を呼び出したまではいいけど、恥ずかしくて渡せないなんて」
「──────~~~~~~ッ!!」
 メリーの顔はもう耳まで真っ赤だ。ひざの上でそろえた腕に、ぎゅっと力のこもるのが見えた。
「それで、その好きな人ってのはどこにいるんだ?」
 私は周囲を見渡した。カフェテラスはけっこう混んでいて、それらしい人物は見つけられない。
「え……?」
 メリーがきょとんとした顔で私を見た。
「恥ずかしいから、かわりに渡してほしくて私を呼んだんだろ?」
「……えっ!?」
 メリーが驚いたように顔を上げた。
「な、なんで……!?」
「ふふん、私の頭脳にかかればこのくらいの推理──」
 私は途中で言葉を止めた。
 メリーがなんだか猛烈な勢いでにらみつけてきたのだ。
「な、なんっ……なんで……っ!」
 どうやら怒りすぎて言葉にならないらしい。全身をブルブルと震わせて私をにらんでいる。
「なんでって、メリーにも好きな人ができたからチョコを用意したんだろ? 私もそろそろ彼氏を──」
「ち、ちがう!」
 メリーが立ち上がって叫んだ。
 私はきょとんとして目の前の親友を見上げた。
「違うって、なにが?」
 メリーがぐっと言葉を呑みこんだ。
 立ち上がったまま、視線を横にそらして、小さくつぶやく。
「……これは、その……れ、蓮子のために作ったのよ……」
 今にも倒れそうなほどかすれた声に、私はますます混乱した。
「私に? そりゃうれしいけど……バレンタインってのは好きな人にチョコを贈る日だろ?」
 私なんかに渡してどうするのだろうか。
 メリーは驚愕に目を見開いた。だけどすぐに視線をそらしてつぶやく。
「し、知ってるわよ……それくらい……」
「知ってるって……じゃあなんで?」
 呆然としてつぶやく。
 今度こそメリーは本当に驚いたようだった。言葉を忘れたようにして立ち尽くし、やがてぽつりとつぶやいた。
「……どうして」
 小さな声を響かせ、今まで見たこともないほどの怒った顔で私をにらみつけた。
「どうして……どうして気づいてくれないのよ蓮子の鈍感バカ!」
 赤い顔に涙を浮かべ、私に向けて怒鳴りつける。
「好きなの! 蓮子が好きなの! 私は蓮子のことが大好きなのよバカぁ!!」
 大声が響き渡る。
 周囲の視線も忘れて、私は硬直してしまった。
「え、だって……その、なんで?」
 私がたずねると、メリーは体の力が抜けたようにすとんとイスの上に落ちた。
「………………あ、あたしなんかにも仲良くしてくれるし、いつも優しくて、カッコよくて、それで、その……」
「あ、う……」
 もじもじとつぶやくメリーを見て、私はなにも言えなくなってしまった。
 全身が熱くて、頭の中が真っ白になっている。なにかを言わなければいけない気がするのだが、上手く言葉が出てこない。
 私は逃げるようにテーブルの上へと手を伸ばした。
「あ、開けてみてもいいか?」
 メリーの頭が、こくん、と縦に動く。
 赤いリボンと黒い包装紙をほどくと、現れたのは真っ白な箱だった。中にはホワイトチョコレートが収まっている。
「その……蓮子をイメージしてみたの。いつも着ている服を……」
「あ……」
 白いシャツと黒い帽子。それに赤いネクタイ。確かに私がいつもする服装だ。
 少し震える手で中に入っていたカードを開く。
 そこには、かわいらしい字で短く「いつもありがとう」と書かれていた。
 胸の奥からじんわりとあたたかなものがあふれてくる。
 きっと、メリーにはこれが精一杯だったのだ。
 あふれる想いも、たくさんの言葉も、どれも恥ずかしくて書けないから、それでこんな短い文章になってしまったのだろう。
 感謝しなければいけないのは、本当は私のほうなのに。
 秘封倶楽部なんていう怪しげなサークルに入ってくれて。私のわがままにいつも付き合ってくれて。こんな私を……好きになってくれて。
 たくさんの言葉を呑みこんで、私も短くつぶやいた。
「ありがとう、メリー」
 想いは、きっと、伝わったのだろう。
「うん……」
 メリーがうなずく。
「うん……ありがとう、蓮子……」
 ポロポロと涙をこぼしはじめた。
「おいおい、なんで泣くんだよ」
「わ、わかんないわよ……っ。でも、なぜだかうれしくて、それで、その……ごめんね……」
「まったく」
 私は手を伸ばして、泣きじゃくるメリーの頭をゆっくりとなでた。
「メリーがこんなに泣き虫だったなんて知らなかったな」
 赤く泣きはらした目がにらみつけてきたが、実際に泣いているのだから反論もできないのだろう。
 あふれる涙を拭きながら、すねたようにつぶやいた。
「いいじゃない……あたしだって、うれしいときくらい泣くわよ……」
「確かに、そうだな」
 私はつぶやいて、かぶっていた帽子を顔が隠れるくらい引き下ろした。
「蓮子……?」
「さーて、こりゃホワイトデーが大変だな。なにしろ三倍返しだもんな」
 わざとらしく大声でつぶやく。
 あーあ、やだやだ、こんなの私らしくないな。なんて心の中でため息をつく。
 やがてメリーのクスクスと笑う声が聞こえてきた。
「そうね。楽しみにしているわ。泣き虫の蓮子さん」
「う……」
 私はなにも言えずに黙っていた。
 せめてお返しに、メリーを絶対に絶対に泣かせるようなプレゼントをしてやろう、と心の中で誓いながら。

<了>

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まとめteみた【うれしのまゆげ】

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