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【東方SS】マリアリ・ドキドキ・ラブドール

どーもこんにちは代表のうこんです。

早速の告知で申し訳ありませんが、来週1/27に行われる「紅のひろば9」に参加します。
場所は「ア25」です。入口からわりと目の前ですので、すぐに見つけられると思います。
お近くの方や、用があって紅のひろばに参加される方は、是非お立ち寄りくださいませー。

ていうか配置優遇されすぎでワロタ状態ですけどw

特に新刊もないのに申し訳ないです。
前回の既刊をたぶん5冊ほどと、あとはなにかペーパーのような物を作って配布する予定です。

内容は未定。なにしろまだ誰もなにも書いてませんからw
前日に徹夜で無理やり書いて印刷するフラグですねこれは。



告知だけではなんなので、前々回の本に載せた私のSSでも載せることにします。
再販の予定もないので、公開しちゃえーということで。

タイトルは「マリアリ・ドキドキ・ラブドール」。

頭の悪いタイトルで申し訳ありませんw
頭の悪い話なので、頭の悪いタイトルにしたかったのです。

内容は
アリスが魔理沙似の人形を創ってキャッキャウフフしようとしたら、なんと……!?
というお話です。

ではでは、どうぞー。


マリアリ・ドキドキ・ラブドール


「ついに完成したわ!」
 魔法の森にあるアリスの家で歓声が上がった。
 床の上には、黒いローブと黒い三角帽を身につけた、等身大の魔理沙人形が横たわっている。その作りは精巧の極みにまで達しており、本物と見分けがつかないくらいだ。
 肌に触れてみると、人肌のようにあたたかく、瑞々しいまでの弾力がある。背中にある魔力補給口がなければ、アリス本人でも区別がつかないかもしれなかった。
 間違いなく、過去最高傑作だ。アリスはひとり笑みを浮かべた。
「やっぱり私は天才ね。それにしても、外の世界の技術もあなどれないわねえ。いくら私でも、これが手に入らなかったら、ここまでは出来なかったかもしれないわ」
 床に横たわる姿を見つめる。
 香霖堂から手に入れた〝ラブドール〟とかいうものを元に、アリスが手を加えて作った魔理沙人形だ。目の前まで顔を近づけなければ、ガラス製の瞳が映し返す無機質な光を見分けることは難しい。
「あとは、こんなこともあろうかと入手しておいた魔理沙の髪の毛を使って命を吹き込むだけ。そうすれば私だけの魔理沙が手に入る。あんなことや、こんなことだって……やりたい放題なんだから……!」
 うふ、うふ、うふふ、と淫らに口元を崩すアリス。
 ひとしきり妄想の世界にふけったあと、ぐいっとよだれを拭って、真剣な目つきに変わった。
「この想いを現実のものとするためにも、ここで失敗は許されないわ。今ならわかる。これまで培ってきた魔法の技術は、今この瞬間のためにあったのよ。気合いを入れなさいアリス・マーガトロイド!」
 アリスの全身から魔力が立ち上る。
 床の上に描かれた魔方陣に光が灯り、記された術式に従って起動を始めた。
 変質した魔力が風となって室内を循環する。風は渦となり、アリスを中心にして荒れ狂う一匹の龍となった。猛る龍に向けて、アリスは両手を勢いよく伸ばした。
「来い来い来い来い!」
 放たれた龍が咆哮を上げ、アリスへと食らいついた。
 衝撃が全身を突き上げる。かつてないほどの量の魔力がアリスの体内へと注ぎ込まれる。
「来た来た来た来たーっ!!」
 トランス状態となったアリスが叫び、横たわる魔理沙人形へと腕を降り下ろした。
 注ぎ込まれた魔力があふれ出す。周囲の空間が光を帯びる。
 凝縮された魔力が、かりそめの命を創ろうとしていた。
 手を突き出し最後の魔力を解放する。
「さあさ、おいでなさい! わたしのかわいい魔理沙・マーガトロイド!」
 光がより一層強くなり、部屋中を真っ白に染め上げた。
 思わず閉じたまぶたの裏側まで、強烈な光に塗り潰される。
 その光もやがて薄れたころ、アリスは静かに目を開いた。
 色を失った魔方陣。嵐が過ぎたあとのように荒れた室内。そして、床に横たわる魔理沙人形。
「……ま、魔理沙?」
 声をかける。
 反応は、なかった。
 頬に触れてみても、やわらかな弾力が返ってくるだけで、魔理沙人形の目が開くことはなかった。
 アリスの肩がガックリと落ちる。
「また失敗のようね……」
 これでもう四度目だった。色々と方法を変えては試しているのだが、うまくいかない。
 いつもの人形ならなんの問題もないのだが、この魔理沙人形に関しては失敗続きだった。
 自らの意志と人格を持った、自律した人形を創るのがアリスの目標である。
 その夢にはまだ届きそうもない。
「魔女の力を借りてもダメだなんて……。やっぱりもっと本人の魔力を集めないと……」
 ブツブツとつぶやきながら儀式の手順を再確認する。
 蔵書室の奥に眠っていたはずの魔導書を参考にしようと、一度部屋を出ることにした。

   ♪   ♪   ♪

 魔法の森の上空を、ひとりの魔法使いがフラフラと飛んでいた。
「あー、パチェの本屋で立ち読みしてたら、すっかり朝じゃないか。どうりで眠いわけだぜー」
 ほうきにまたがったまま、何度も頭を上下に揺らしている。言葉通りに眠そうな表情だった。
 不意に訪れた強烈な睡魔が意識を奪う。
 かくん、と落ちた首の勢いでほうきが下を向いた。空を飛んでいた勢いのままに、森に向けて落下を始める。加速するほうきは、地面に向けて吸い込まれるように滑空し──
「──うおっ!?」
 目を覚ました魔理沙が慌ててほうきを引き戻す。
 ほうきを押し上げる強烈な力が魔理沙の体に伝わり、地面から数メートルのところでギリギリ停止した。目を覚ますのがあと数秒遅かったら、頭から激突していただろう。冷や汗が頬を伝った。
「い、今のは危なかったぜー……。こりゃどこかで仮眠でも──」
 つぶやきながら周囲を見渡す。すぐに、ここが自分の見知った場所であると気づいた。
「おお、ここからならアリスの家まですぐじゃないか。ちょっくら一眠りさせてもらうか」
 魔理沙は最後の力を振り絞って、アリスの家へと飛んでいった。

   ♪   ♪   ♪

 蔵書室で魔導書を読みふけっていたアリスは、家の中で不審な物音がするのに気づいた。
「どろぼうかしら?」
 魔導書を閉じ、そっと部屋を出る。
 物音はもうしなくなっていたが、何者かの気配は残ったままだ。不審者は今も家の中にいるらしい。
 感知の魔法で気配を探る。どうやら不審者は、アリスの自室にいるようだった。
 そこには魔界を出るときに母から譲り受けた貴重な魔術書がたくさん置かれている。
「……私の家に盗みに入るなんて、いい度胸じゃない」
 アリスの部屋には結界が張られていて、普通は入ることが出来ない。
 しかし相手はたやすく侵入してしまったようだった。
 自分と同等か、それ以上の魔法の使い手だろう。あるいは結界の専門家かもしれない。スキマ妖怪か、博麗の巫女か。思い当たる相手はたくさんいるが、いずれにしてもただ者ではない。
 扉の取手に手をかけると、、緊張する心を落ち着かせてから、一気に押し開いた。
「そこまでよ! ここを誰の部屋だと思っ……て……」
 一歩踏み出した瞬間、目の前の光景に我を忘れてしまった。
 ベッドの中で魔理沙が寝ていた。
 アリスはたっぷり十秒はその場で立ち尽くしていた。
 なんでどうして魔理沙が私のベッドで寝てるなんて関係になったてことはもう初夜の準備オーケーってことでファイナルアンサー? と考えてから気がついた。
「あ、そっか! やっぱり人形の儀式は成功してたんじゃない!」
 機嫌良くベッドへと近寄る。
 魔理沙人形なら結界を通り抜けるのも当然だ。結界とは侵入者を入れないためのもの。もともとアリス自身や人形には作用しないようにしてある。
「おかしいと思ったのよね。私の魔法理論は完璧だったはずだもの」
 眠る頬を触ってみる。瑞々しい弾力はやはり本物のよう。
近くまで寄ってみても、本物と見分けはつかなかった。
「それにしても、ぐっすり眠ってるわね。魔力が切れちゃったのかしら」
 あちこち調べてみたが、特に異常は見あたらない。
 魔力が少し減っているようではあったが、動けなくなるほどではなかった。
「……もしかして、眠いだけ? だからって私のベッドで寝るなんて、そんなふてぶてしいところまで本人に似なくてもいいのに」
 ため息をつきながら、寝ている魔理沙を揺り起こす。
 ここまで歩いてきたとはいえ、きちんと自律した人形なのか、魔理沙本人の情報をどこまで引き継いでいるのか、確かめる必要があった。
 魔理沙の目がゆっくりと開く。
「おお、アリスか。ちょっとベッドを借りてるぜ」
「見ればわかるわよ。それより検査をするから、起きてくれないかしら」
「悪いけど今は眠いんだ。あと七時間待ってくれ」
 もぞもぞとふとんの中にもぐり込む。
 アリスは容赦なくふとんをはぎ取った。
 魔理沙が眠そうに顔をしかめる。
「ひどいぜアリス。ちょっと借りるだけじゃないか」
「はいはい。いいから起きて」
 しぶる魔理沙の手をつかんで強引に引っ張り上げる。
 眠そうな目のまま魔理沙は上半身を起き上がらせた。
「ちょっと腕を上げてくれないかしら」
「こうか?」
 素直に両腕を真上に向ける。アリスは魔理沙の服のすそをつかみ、一気に持ち上げて脱がせた。
「な、な──っ!?」
 魔理沙が慌てて腕を下ろす。脱がそうとしたアリスの腕を振り払った。
「な、な、なにをするんだぜ!?」
「だから言ったじゃない。検査よ。いくら魔理沙の魔力を入れたからっていっても、元は人形なんだから、ちゃんとメンテナンスはしないといけないでしょ」
「人形ってなんのことなんだぜ!? あたしは普通の魔法使い、霧雨魔理沙だぜ!?」
 赤い顔で涙目の声を上げる魔理沙。なるほど、とアリスはひとりで納得した。
「人格どころか、記憶まで引き継いじゃってるわね。人形自身も分からないほど本人と同じなのね」
 じろじろとながめる。
 魔理沙は怯えた目つきでベッドの隅に寄り、アリスから距離を取ろうとしていた。
「うう、今日のアリスは、なんか変なんだぜ……」
「まあいいわ。とりあえず脱いで」
「だからできるわけないんだぜ!?」
「どうしてもイヤなの?」
「あたりまえだろう!」
 本気で嫌がる魔理沙を前にして、アリスは仕方なく服から手を離した。
「まあいいわ。ただの人形だったら、あたしの命令をここまで拒否できないものね。あなたが魔理沙本人に限りなく近いってことはわかったわ」
「いや、だから、人形じゃなくて本人なんだが……」
「それでね、どうして私はこんなに苦労してまで、あなたを創ろうとしたかわかるかしら?」
「正直さっぱりだぜ……」
 首を振る魔理沙が演技をしているようには見えなかった。
 たぶん、本当に、なんの心当たりもないのだろう。
 アリスはかすかにうつむく。奥歯を噛みしめ、すぐに顔を上げた。
「どうせそんなことだろうと思ってたわ。だから、私が教えてあげる」
 ベッドの上に膝をのせる。そのまま魔理沙へとにじり寄った。
「な、なんなんだぜ……」
 魔理沙が逃げるように後ずさる。狭いベッドの上では、すぐに背中が壁に当たってしまった。逃げられない魔理沙に向かってアリスはさらに近づく。手を伸ばし、そっとやわらかな頬に触れた。
「私ね、どうしても知りたかったことがあるの。でもそれは、魔理沙本人でないとわからないの。でも、本物の魔理沙にそんなこと出来るはずがないの。だからあなたを創った」
「な、なにを……」
 頬をつかみ、アリスはさらに顔を寄せる。もう二人の唇は触れる寸前にまで近寄っていた。魔理沙は言葉もないまま、ただじっと震えながら目の前のアリスを見つめている。
 アリスはそっと息を吐くように、小さな言葉をもらした。
「どうして魔理沙は、私のことを好きになってくれないの?」
「え……」
「こんなにも魔理沙のことを好きなのに、どうしてこの気持ちに気付いてもくれないの? どうしたら私のことを見てくれるの? なにをしたら、私のことを好きになってくれるの?」
「え、えっと……」
 呆然とした声がこぼれた。とまどったまま、それ以上の言葉を口にできないでいる。
 アリスは静かに笑った。
「その様子だと、本当に気がついてもいなかったのね……」
 声が小さく響く。顔を離して、魔理沙の前に腰を落とした。
「初めて会ったときから憧れてた。明るくて、みんなから慕われてて、私なんかとは正反対。私はこんな性格だから、誰かを好きになるなんて、ずっと無理だって思ってた。こんな私が、誰かを好きになって、その誰かと一緒に過ごすってことが、全然想像できなかった。きっと私には無理なんだろうって思ってた。
 でもそれは、私が知らなかったからだった。
 魔理沙を思うこの気持ちに気付いてから、毎日が楽しくなった。
 今度はいつ魔理沙に会えるんだろう。魔理沙が喜びそうなものを探しておこう。美味しいお茶を入れてみよう。魔理沙が嬉しそうな顔をするだけで私も嬉しくて、その様子を想像しながら毎日を過ごすのがとても楽しくて、いつのまにか私は、魔理沙のことしか考えなくなってたの」
 ぽつぽつと、途切れがちではありながらも、アリスは自分の思いを語っていた。
 目の前の魔理沙に話しかけるわけでもなく、ただ自然と想いが口からこぼれ落ちていく。
 いつしかアリスの目からは涙がこぼれていた。
「ありがとう、こんな私にも仲良くしてくれて。魔理沙のことを好きにならせてくれて」
 答える声はなかった。
 表情を隠すように、魔理沙はうつむいていた。
 アリスは力なく笑った。
「やっぱり、嫌われちゃったかな。気持ち悪いよね、こんなことなんて。でもいいの、私は報われなくてもいい。ただ好きでいさせてくれれば、それでいいから──」
「ち、ちがう!」
 魔理沙が大声を上げてアリスの腕をつかんだ。
 驚いて目の前の顔を見る。その顔は真っ赤に染まっていた。
「気持ち悪くなんかない。アリスの気持ちは、その、すごく嬉しい。……ただ、あたしは、その……」
 赤い顔で目をそらす。
 それは恥ずかしいからとかではなく、後ろめたいからのような表情だった。
 きっとアリス以外の誰かを想像しているのだろう。
 そんなことは出会ったときからわかっていた。わかっていたから一歩引いていたのだ。
 でも、もしかしたら。
 こうして何度も家に来てくれるのは、もしかしたら私のことを。
 そう思ってしまい、思わず頬がゆるんでしまう日もあった。それだけで一日が幸せになった。
 でも、そんな幸せはもう訪れないだろう。
 目の前の魔理沙を見れば、ありえない妄想であったことはすぐにわかってしまう。
 少しだけ力強く涙を拭いた。
 すべては妄想で、初めからかなうはずのない夢だった。
 わかっていても、それでも感情を整理するのは難しい。
「あー、なんだか腹が立ってきたわ。ちょっとおっぱいもませて」
「はあ!?」
 魔理沙が悲鳴のような声を上げる。
「今の流れでどうしてそうなるんだぜ!?」
「だって、魔理沙の心が手に入らないなら、せめて体だけでもいただいておかないと」
「なにいきなり意味のわからないことを言いだしてるんだ!」
 全身を抱きしめ、身をよじるようにして胸を隠す。
「いいじゃない、減るもんでもないし」
「減るに決まってるだろう!?」
「なんならその貧乳を大きくしてあげるわよ」
「大きなお世話なんだぜ!」
 本気で嫌がる魔理沙に対し、アリスはニヤリとした笑みを向けた。
「いいのかしら。知っているのよ。魔理沙が胸の大きさを気にしてること」
「な、なんのことだかさっぱりだぜ」
 言いながらも視線をそらす魔理沙。
「大きくするために、夜中にこっそり温泉に入ってマッサージしてることだって」
「な、な、なんで──!?」
 うろたえる魔理沙。
 そこでアリスはギリッと唇を噛んだ。
「……それを、本当は霊夢にして欲しいことだって……!」
「なんでそんなことまで知ってるんだぜ!?」
 ガクガクとアリスを揺さぶる。なすがままになりながら、乾いた笑みを浮かべた。
「昨日も温泉でひとりごとを言ってたじゃない。『自分じゃ気持ちよくないけど、霊夢にやってもらえたら、きっと──』」
「わ──っ! もういい、もういい!」
「私に霊夢のかわりはできないけど、胸を大きくしてあげることならできるわよ」
 ピタッと魔理沙の手が止まった。
「どういう意味なんだぜ……」
「だってほら」
 アリスは胸を張って見せた。
 決して大きいとはいえないひかえめな胸だが、それでもぺったりとした魔理沙よりは確かに大きかった。
「私も毎日マッサージを欠かしたことはないのよね」
「だ、だからって」
「紫のように大きくしたいんでしょう?」
「う──」
 魔理沙が迷うような表情を見せる。
 自分とアリスの胸を何度も見比べたあと、やがて小さくつぶやいた。
「……や…………」
「なに? よく聞こえないわよ」
 魔理沙はますます顔を赤くして、かすれた声を響かせた。
「……やさしくしてほしいんだぜ……」
 アリスは鼻血を噴き出した。
 ……はっ! なにをやってるの私は!
 いくら魔理沙に似てるからって、これは人形なのよ!? 自分で創った人形の胸を揉んで悦に浸るなんて、最低の変態じゃない!
 しっかりしなさいアリス・マーガトロイド! 人形師としてのプライドを思い出すのよ!
 強く言い聞かせて、ゆれる心を自制する。
 あんまりにも魔理沙に似ているものだから、本当に魔理沙に言われたかのように錯覚してしまっていた。これは人形……そう、これは人形なのよ……!
 必死に言い聞かせるアリスの腕を、弱々しい力が引っ張った。
 目を向けると、うるんだ瞳がアリスを見上げた。
「……こんなこと、アリスにしか頼めないんだぜ……」
「すぐにマッサージしてあげるわ!」
 人形? プライド? なんのことかわからないわね。私は2・5次元の世界に生きるのよ!
 アリスは猛ダッシュで倉庫室へと向かった。
 こんなこともあろうかと幻想郷通販でマッサージオイルを入手してある。もちろんラブドールで入念に練習済みだ。
 両手をワキワキと動かしながら、鼻歌交じりで倉庫室へと入る。

 目の前に、動かないままの魔理沙人形が横たわっていた。

「………………あれ?」
 数秒間、アリスは硬直して動けなかった。
 混乱する頭が状況を理解しようと空回りを始める。
 あれおかしいなどうしてここに魔理沙人形があるのかしらだってさっきまで私の部屋にいたってことはああそうか私が天才過ぎて魔理沙人形を創っただけじゃなく瞬間移動する程度の能力まで与えてしまうなんてまったく自分の才能が恐ろしいからすぐに戻って魔理沙の様子を確かめないと!
 バックステップで廊下へと戻り、全速力で自分の部屋へ走る。
「あ、アリス……準備はできたのか? あたしは、その、もう覚悟はできたから……」
 ベッドの上の魔理沙が恥じらうようにつぶやいている。
「──くっ! 私よりも早く動くなんてやるじゃない! でも次は──!」
 再び倉庫室へと走って戻る。やはり魔理沙人形は横たわったままだった。
 魔理沙人形を視界に納めたまま、素早く廊下へと駆け出した。
 と見せかけて部屋に戻る。やはり魔理沙人形は横たわったままだった。
「くっ……フェイントにも引っかからないなんて……!」
 三回繰り返したあと、今度は本当に廊下を走った。
 風の魔法で身を軽くし、縮地の魔術で最短距離を駆け抜ける。
 飛び込んだ自室には、やはり魔理沙がいた。
「あ、アリス……」
 ベッドの上の魔理沙を押し倒し、強引に服をめくりあげた。
「……あんっ、そんな激しく……!」
 手を背中へとのばして確かめる。
「ひゃあっ!」
 人形なら魔力の補給口があるはずだった。
 しかし──
「……お願い、やさしくして……」
 押し倒された魔理沙が、ぎゅっと目を閉じて体を震わせていた。目の端に涙がにじみ、頬は熱く火照っている。恥じらう様子は、どう見ても乙女そのものだった。
 ──どうしようこれ本物の魔理沙だ!
 慌てて魔理沙の上から離れる。今更ながらに全身が熱くなっていた。
「あ、あの、私、ゴメン、その……」
 人形だと思って、とんでもないことを告白してしまった。
 思い出すだけでも恥ずかしい。とても目を合わせていられなかった。
「……どうしたんだぜ、アリス……?」
「あの、その、あのね、あれは全部ウソっていうか、私ちょっと勘違いしちゃったみたいっていうか──」
 しどろもどろに弁解するアリスの言葉が、不意に途切れた。
 アリスの下で魔理沙が倒れている。
 服をまくられて半裸の状態のまま、抵抗する様子もなくベッドの上に横たわっていた。
 濡れた瞳を横へとそらしながら、桜色に上気した顔でつぶやく。
「……焦らすなんて、イジワルだぜ……」
 理性が崩壊する音を、アリスは確かに聞いた。


 朝になり目が覚めた。
 アリスは自分のベッドで身を起こす。
 すべては夢だったのかもしれない。そう思ってとなりを見る。
 裸の魔理沙が眠っていた。もちろん人形ではない、本物の魔理沙だ。
 二人は裸のまま、同じシーツにくるまれている。
 くすぐったい想いが胸の内からあふれてきて、自然と顔をほころばせた。
 金色の癖っ毛をやさしくなでる。
 魔理沙が体を動かし、ゆっくりと目を開けた。
「あ、起こしちゃった? おはよう魔理沙」
「おお、アリスか。おはよう。ちょっとベッドを借りてた──」
 魔理沙の動きが止まった。
 アリスの姿を見て、それから自分の姿を見る。もう一度アリスの姿を見た。その目は丸く見開かれている。
「ふふ、昨日は激しかったね魔理沙。ねえ、これからどうしよっか。私たちはほら、もうその、夫婦、みたいなものでしょう? 別々の家に住むっていうのは、やっぱり良くないと思うっていうか、私、魔理沙と一緒に暮らしたい……なんて……きゃっ、言っちゃった。でもやっぱり家はもうちょっと大きくしないといけないわよね。あ、みんなに報告しないといけないわね。霊夢とかパチュリーとか、きっと驚くでしょうね。あれ、どうしたの魔理沙? さてはまだ眠いのね。もう、まったく魔理沙はしょうがないわねえ。ねえ魔理沙? 魔理沙ってば──

   ♪   ♪   ♪

 神社の朝は早い。霊夢が境内の掃除をしていると、ほうきに乗った魔法使いがやってきた。
「あら魔理沙じゃない。朝早くから珍しいわね。どうしたの」
 掃除をする手を止めて出迎える。
 魔理沙は中庭に下りると、いきなり頭を深く下げた。
「浮気してゴメンだぜ!」
「……は?」
「でも、ちゃんとケジメはつけてきたから!」
「……はあ」
「じゃ、それだけだぜ!」
 用件は本当にそれだけだったようで、来たときと同様に急いで飛び立っていった。
 空へと消えていく姿を霊夢は見上げる。
「変な魔理沙ねえ」


 その日の文々。新聞の一面は、魔法の森にできた特大レーザー痕の特集だった。近くにあった人形師の家が巻き添えになったようだと記事の端っこに書かれている。
 その後、アリスの姿を見たものは誰もいなかった。

< 了 >
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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うれしのまゆげ

Author:うれしのまゆげ
東方SS合同誌を作成してます。
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